こんにちはMASAです。
今回は
ミャンマーにおいて、2月1日の実行された国軍のクーデターは
どんな意味を持つのかを考えていきたい。
大手小売業イオンに入社後、店舗営業、本社スタッフを経験。
その後、駐在員として香港、マレーシア、ベトナム、ミャンマーにトータルで12年滞在。
各国で商品部や新規合弁事業の管理担当を歴任。
現在は独立、ミャンマーの最大都市ヤンゴンに居を構え、新規事業の準備中。
今回のクーデターの意味するところは?

ミャンマー国軍が2月1日、クーデターを実行。
アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相やウィン・ミン大統領、同党出身の地方政府幹部を拘束。
軍出身のミン・スエ副大統領が大統領代理として「非常事態宣言(1年間)」に署名するとともにミン・アウン・フライン国軍総司令官が立法・行政・司法の全権は掌握。
同時に、1年間の非常事態宣言終了後、国軍は不正があったと主張する2020年11月の総選挙を無効とし、自らの指導の下で現行の憲法に基づき、自由で公正な、複数の政党による総選挙を実施する、と宣言した。
このクーデターの本質は何なのか。
以下、個人的な見解だがみていきたい。
このクーデターの本質は何なのか?
以下の3つの推論が成り立つ。
(推定)軍が改憲実現に危機感を抱いたのか?

日本経済新聞で報道されているように
前回の2015年のスーチー氏による歴史的な政権交代を演じた選挙とは違い、2020年の選挙は憲法改正や民族和平などの公約を果たせなかったNLD政権が議席を減らすというのが大方の見方であった。
しかし蓋を開けてみればNLDは前回以上の圧勝となった。
この民意に軍が恒久的と思われた自身の政治関与について危機感を持っても不思議ではない。
※国軍は現行の憲法で4分の1の議席が補償され、かつ改憲には4分の3を超える賛成が必要。
2期目は公約達成が必須となるNLD政権は、待ったなしの状況だ。
スーチー氏は今後の少数民族との和平交渉において、現在の憲法では許されていない自治権を認める「連邦制」を進めることによって改憲機運を高め、同時に国軍が持つ非民主的権利条項の改廃も抱き込んで進めようとしているのではないだろうか。
少数民族との和平協議には参加せざるを得ない国軍は、この民意を後ろ盾にして改憲論議が進みかねないと、危機感を募らせた可能性がある。

(推定)軍が隣国のパワーバランスに乗りかかろうとしたのか?

このクーデターに先立って、昨年の11月の総選挙後、最初に訪れた外務大臣となった中国の王毅国務委員兼外相は、スーチー新政権への期待と支援を強く示すとともに、中国が強力に推し進める「一帯一路」政策へのさらなる協力を呼び掛けた。
- 中国にとって、約2千キロの国境を接し、インド洋に面したミャンマーは地政学的には非常に重要な国のひとつとなる。
- 中国が強力に推し進める「一帯一路」の主要プロジェクトもミャンマーの協力なくして成功は無い。
ランドパワー(広い国土と世界最大の人口)の中国としては、コロナ後1~3年、人や物の活発な動きが国力の源泉であるシーパワー(イギリス、アメリカ(ランドパワーも持つ)や日本)の国々の勢いがコロナ禍により止まっている間に「一帯一路」や「東シナ海への進出」を強力に推進しなくてはならず、ミャンマーの協力が何としても必要だ。
しかし、中国への協力という約束手形を切ったスーチー氏率いるミャンマー側の対応は遅い。
そこで、これまでの政治の経験値が高く、決断が速い(といわれている)国軍に白羽の矢が立ったとしても不思議はないと個人的には思料する。
この分析は想像の域をでないが、現在の国際情勢とパワーバランスを考えたとき、説得力のあるクーデターの意味のひとつとなる。
純粋な国内の権力闘争なのか?
皆様も感じておられることと思うが、この国軍による選挙不正の話は、米国の大統領選挙の話とよく似ている。
またこの不正について、徹底した調査が行われたかというと疑問がのこると個人的には思う。
国軍がこの機に乗じて、上記1で説明した改憲を阻止するだけでなく、再度の国家支配を目指しクーデターを起こしたとすればどうであろうか。
この分析では、1年後の総選挙宣言や、欧米からの制裁を嫌い、軍部が自ら2011年に民主化の窓を開けたことに矛盾してしまう。
また、国軍も以前のように国民が完全な軍事政権を許容するとは思っていないだろう。
この説は説得力がないと言える。
(再)ミャンマーの経済成長が止まらないことを願う

私はミャンマー国およびそこに住む多くの友人を心から愛している。
しかし、ご批判を受けるかもしれないが、前回の総選挙に係る軍部の主張が一方的にすべて誤りであるとも思われない。
今後、軍部とNLD支援者の物理的な衝突がおき、海外からの経済制裁が発動されることは何としても避けねばならない。
そのためにも、今一度、国際社会立ち合いのもと、政権与党であるNLDのスーチー氏と軍が冷静に話し合い、何とか解決策を見出してほしい。
始まったばかりのミャンマー経済の成長が止まらないようなバランスの取れた解決策がなされることを祈るばかりである。
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【参考図書】
ウンサンスーチー政権下のミャンマー経済
工藤 年博 (著), 大木 博巳 (著), 国際貿易投資研究所 (著)
出版社 : 文眞堂 発売日 : 2020/2/10
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今回も最後までお読みいただきまして有難うございました。
MASA


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