強い小売業の法則(4): 徹底した現場への「権限移譲」

小売業

6回に渡って、私が小売業での経験を通して学んだ「強い小売業の法則」を紹介していきたい。

第4回は徹底した現場への「権限移譲」である。

強い小売業は例外なく現場を信頼し、現場に権限移譲している。

従業員の声を傾聴し、従業員を活かす経営を実践しているのである。

イオンやドン・キホーテ、ウォルマートマなど強いチェーンストアはマニュアルやITシステムに基づいた運営ルールに縛られており、現場の裁量権などはあまり無いように思われがちである。

確かに品切れによるチャンスロスや過剰発注による廃棄ロスを防ぐための支援システムなどは整備されているが、現場の商品発注や接客担当者の裁量でできることは多い。

お客さまのニーズやウォンツを的確につかみ、担当部門の業績をドラスティクに伸ばした現場担当者の手法(=売り方、見せ方、発注方法など)はベストプラクティスとして社内に水平展開されていく。

時には、社内マニュアルの改訂につながる大きな成果を出す売り場(ドン・キホーテでは買い場)担当者も現れる。

私の経験からも、「現場への権限移譲」はいわゆる小売りの要であり「信頼して任す」ことのメリットは計り知れない。

第4回は徹底した店舗従業員への「権限移譲」である。

なぜ強い小売業は現場に大胆な権限を移譲するのか?

権限移譲のメリットとは?

などの疑問に答えていきたい。

大手小売業イオンに35年間勤務

2011年よりアセアン事業(マレーシア、ベトナム、マレーシア)において、管理担当として合弁事業会社の立上げに取組む。

なぜ強い小売業は現場に大胆な権限を移譲するのか?

今、注目を集める「イオン」「ドン・キホーテ」「ウォルマート」といった小売りのエクセレントカンパニー創業者が「現場への権限移譲の重要性」について語った言葉を見ていく。

ここから、権限移譲がチェーンストアのマネージメントにおいていかに重要であるか理解できるであろう。

ドン・キホーテ

“現場に権限移譲 従業員を活かす 従業員の声を聴く”    

“第三条 現場に大胆な権限委譲をはかり、常に適材適所を見直す

Pan Pacific Strategy Institute 及びPan Pacific Retail Management (Asia)創業会長 兼 最高顧問 安田 隆夫

源流「PPIHグループの理念」より(PPIHグループホームページ)

企業理念|PPIH(旧ドンキホーテHD)
株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の「企業理念」をご紹介します。

「これでダメならきっぱり諦めよう」と腹をくくって、「教える」のではなく、それと真逆のことをした。 「自分でやらせた」のである。 それも、一部ではなく全部任せることにした。従業員ごとに担当売場を決め、仕入れから陳列、値付け、販売まですべて「好きにやれ」と、思い切りよく丸投げしたのだ。しかも担当者全員に、それぞれ専用の預金通帳を持たせて商売させるという徹底ぶりである。これこそ、のちにドンキ最大のサクセス要因となる「権限委譲」と「個人商店主システム」の始まりだ。”

安田隆夫. 安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生 (文春新書)より

イオン

「打率 三 割 は 良い ほう で ある。 七 割 の 失敗 は 当然 で ある。 本人 が 失敗 を 隠し たり、 一回 の 失敗 で 意気阻喪 し たり さ せ ない こと で ある」「人 は どんな とき に よく 働く のか。 愉快 な とき に 働く ので ある。 人間 は、 人 から 認め られ た とき 愉快 に なる ので ある

「どんな 人 でも その 人 に 合っ た やり方 さえ 考えれ ば、 人 は どういう ふう にでも 社会 の 役に立つ こと が できる」”     

“東海 友和. イオンを創った女――評伝 小嶋千鶴子  株式会社プレジデント社

イオン グループ の 元 経営者 で、 イオン の ビジネス 精神 を 築い た 小嶋千鶴子氏が 残し た 著書( 一般 には 出 て おら ず、 イオン に 入社 し た 者 だけが 手 に する こと が できる『 あし あと』)から

ウォルマート

“7. Listen to everyone in your company.

And figure out ways to get them talking. To push responsibility down in your organization, and to force good ideas to bubble up within it, you must listen to what your associates are trying to tell you.”

“7.会社の全員の話を聞いてください。

そして、彼らに話をさせる方法を見つけてください。組織内の責任を押し下げ、組織内で優れたアイデアを浮かび上がらせるには、同僚があなたに伝えようとしていることに耳を傾ける必要があります。

Walmart homepage No.7 of 10 rules for building a better business

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・現場に責任を委譲する

・さまざまなやり方で、店員に改善案を出すように奨励

・ほとんどの改善案はごく常識的なものだが、わが社は大企業であるなどと考えていては、思いつかないようなものばかりだ

・会社が成長するにつれ、責任と権限を現場の最前線、つまり、陳列棚に商品を並べ、お客と実際に 言葉を交わす売り場主任へ移すことがますます重要になってくる

サム・ウォルトン著「私のウォルマート商法-すべて小さく考えよ-」(渥美俊一・桜井多恵子監訳、講談社+α文庫)から引用。”

代行者への権限移譲が自分のステップアップにつながる

よく言われることだが

自分が店長であれば、代行者に店長の仕事を任せ、自分は一つ上の職階の事業部長(エリアの複数の店を管轄)の仕事をする。

事業部長の立場であれば、ワンランク上の本部長(取締役クラス)の視点から事業部戦略を考え、未来に向けて次の一手を打っていかなくてはならない。

さもなければ「部下のレベルアップ」はもちろん「自分自身のレベルアップ」は図ることはできない。

権限移譲が最大の教育

皆さんは山本五十六の以下の言葉をご存じであろうか。

やってみせ、言って聞かせて、

させてみせ、

ほめてやらねば、人は動かじ。

話し合い、耳を傾け、承認し、

任せてやらねば、人は育たず。

やっている、姿を感謝で見守って、

信頼せねば、人は実らず。

小売業に限らす、すべてのマネージメントに通じる言葉である。

また、「YouiTube講演家」として有名な鴨頭氏もその公演の中で次のように言っている。

店長・リーダーは

従業員ひとり一人を信じる

従業員のアイデアを「いいね」と言って採用する

従業員にとって運動会の日のお父さんになる

・「エフィカシー(自己効力感)」を高める3つの方法

1)     自分で自分を承認する

2)     褒めてもらう(否定する人と距離を置く)

3)     他者を承認する

である。

鴨頭氏の“いいね”の合言葉は有名である!!

小売業の要は店長

鴨頭氏のYoutubeを検索すると、同氏はマクドナルド店長時代に「従業員の信頼し任すこと」で常に全国No.1の業績改善を達成し続けた話が出てくる。

確かに、私の店長時代も、従業員を信頼しその良いところ引き出し、従業員を前面に押し出した時が一番、店の成績が良かったと思う。

下手に上の言うことをそのまま従業員に押し付けたときはいつも壊滅状態、店の雰囲気も暗くなった。

小売業の要は店長であり

その店長が「従業員を信頼し、任せる胆力がなければ」店は決して良くはならない。

当然、店の集合体である会社はよくなるわけがない。

強い小売業は現場の従業員を信頼し、権限を委譲することで成長していく。

本日も最後までお読み頂きありがとうございました。

MASA

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