今回は
OMOとは何か?
OMOで小売業はどう変わるのか?
小売業におけるOMOの活用事例について
みていきたい。
大手小売業イオンに入社後、店舗営業、本社スタッフを経験。
その後、駐在員として香港、マレーシア、ベトナム、ミャンマーにトータルで12年滞在。
各国で商品部や新規合弁事業の管理担当を歴任。
現在は独立、ミャンマーの最大都市ヤンゴンに居を構え、新規事業の準備中。
OMOとは?

「Online Merges with Offline」の略でグーグルチャイナの元CEOの李開復が提唱した。
オンラインとオフラインを別々にとらえるのではなく、その垣根を越えてUser Experience(お客さまの体験)を中心に考えるコンセプト。
現在のデジタル社会において、人々は昼休みや通勤時など外で活動している時も、四六時中スマホでつながっていることから可能になった戦略といえる。
例えば
昼ごはんの時間に合わせて、今朝スマホに届いた割引クーポンを使って、大好きなハンバーガーとコーヒーのデリバリーを頼む。
仕事の帰り道に、スマホで予約しておいたオーダーメイドの紳士服の店で採寸し、そこで注文するのではなく、週末にゆっくりと生地・色・ディテールをネットで選び購入決済する。
など、
企業の提供するECサイトやリアル店舗において、自分の好きなチャネルを自分の好きなタイミングで行き来する。
企業側の理論でチャネルを分けるのではなく、適切なタイミングで適切なチャネルを提供する。
このことによって、お客さまの体験価値を最大にしていこうというコンセプトをOMOという。
したがって、OMOを活用する小売業は、これまでのようにお客さまに商品・サービスを販売したら関係性が終わるのではなく、購入後も、そのお客さまの生活スタイルや哲学にあった情報(必ずしも扱っている商品・サービス情報に限らない)を継続的に提供することによって関係性を保っていく。
OMOはその関係性の中で、新たな商品やサービスを購入していただき、LTV(Life Time Value、生涯獲得価値)を最大化していくビジネスモデルとなる。
OMOで小売業はどう変わるのか?
O2O
これまでOMOの発展過程でO2Oやオムニチャネルの戦略がとられてきた。
O2Oは「Online to Offline」の略。
お客さまをECサイトなどのオンラインからリアル店舗へ誘導していく考え方で、オンラインは店舗に来てもらう販促手段の1つで完全に別個のものと考えられていた。
具体的にはECサイトを訪問したお客さまに店舗で利用できる割引クーポンを発行するといったもの。
オムニチャネル
非常にOMOとよく似ているのだが、お客さまが商品をお買い上げになるプロセスにおいて、オンラインとオフラインの垣根をなくすオムニチャネルという戦略をとる企業は多い。
ECサイトにリアル店舗のお客さまを奪われるという対立軸でとらえるのではなく、両方を融合したオムニチャネルを実現し、リアル店舗からECサイトに誘導する、またその逆というような双方向の連携を強化することで、お客さまの都合によってどちらも快適に利用できるように設計する。
米国の小売業では古くから店舗とECサイトの在庫管理システムを統合し、店舗スタッフは自店にある在庫に加えてECサイト在庫も勘案しながら接客できるようになっていた。
また、ECサイトで購入した商品を店舗で受け取り、試着やアフターフォローなどもできる。
これもオムニチャネルのひとつだ。
日本では、セブン&iグループが広島において、そごう・西武のショッピングサイトで取り扱う銘菓をネットで注文してくれたお客さまに、広島地区にある470店舗のセブン‐イレブンで受け取ることができるなどのオムニチャネルの実験を進めている。
オムニチャネルとOMOとの違い
それでは、このオムニチャネルとOMOとの違いは何なのか。
違いはオムニチャネルがECサイトと店舗の在庫管理システムを統合することなどによってチャンスロス防ぎ、販売効率の最大化を目指すものであるのに対し、OMOはオンラインとオフラインを別のものと捉えず、1つのものとして完全融合させ、より質の高いお客さま体験を提供するビジネスモデルとなる。
その根底にある考え方が全く異なるのだ。
この視点により、これまでの小売業の最大の経営指標が来店客数や来店時の客単価であったのに対し、これからは、お客さまと小売企業の長いお付き合いを通してのLTV(Life Time Value、生涯獲得価値)がKFS(Key Success Factor)やKPI(Key Performance Indicator)となる。
私見だがOMOは、オンラインとオフラインを融合させて、体験価値の最大化させること、そしてLTVを最大化させることで、これは2000年代によくいわれた「お客さまの囲い込み」を、お客さまの合意のもと取り組むことではなかろうか。
このは少子高齢化による人口減少が進む日本において、小売業を継続的に発展させるカギと考える。
OMOの活用 中国の事例

アリババのフーマー・フレッシュ
フーマー・フレッシュはアリババはが2016年から開発を始めたOMO活用型のスーパーマーケットチェーンで、2020年で200店舗を超える。
実店舗とオンラインスーパーの品ぞろえ・価格は完全に一緒で、オンライン注文は、店舗から3㎞以内であれば、30分以内に無料配送する。
店舗でもアプリで商品コードを読み取りオンライン決済と配送が可能である。
お客さまは、ネットでは確認できない鮮度を店舗で確認して購入、オンラインで配送してもらえる。
アリババは、自社が提供する既存サービスの顧客情報をフーマー・フレッシュ店舗の開発に利用するとともに、アリペイ決済により得られる購入情報をもとに需要予測して食品ロス削減に取り組む。
OMOによる、お客さまの買いもの体験の最大化と事業効率化を同時に実現している。
平安保険のグッドドクターアプリ
グッドドクターアプリとはアプリ上で24時間AIドクターに健康相談ができるとともに、チャットや動画で医師の問診を受けることのできるアプリ。
診察必要となった場合は、5,000件以上(2018年)の医療機関予約をとることができる。
また、診断書や処方箋もオンラインで発行できる
平安保険は、グッドドクターアプリで集めた健康情報を蓄積するとともに、加入済み保険の適用範囲の傷病相談をした場合に、保険適用が可能であることを告知する。
加えて、スマートフォンで計測した歩数をポイントとして換算し、医薬品や美容用品、健康食品の購入に利用できる。
同社は保険契約後もグッドドクターアプリにより客さまの健康データ取得を継続する。
そのデータに基づく健康生活へのアドバイスや健康増進情報を提供し続けることによって、顧客のロイヤルカスタマー化を図る。
小売業にけるOMOの活用 米国の事例
Amazon Go
Amazon GoはAmazon.comが運営するレジがないコンビニ。
事前に専用のアプリをインストール、入口で自分の認証QRコードをかざして入店する。
無数のカメラとセンサーを使ってAIは、お客さまが何を買ったかを正確にチェックする。
店舗に入ったら棚の商品をショッピングバックや自分のエコバックに入れて、そのままゲートでQRコードを読み込み、店舗を出ればすべて終了。
店を出て数分でスマホにレシートが届く。
Amazon Goでは売上の30%は日本のコンビニでいう、お弁当やデザート、ホットコーヒー。
データ解析により惣菜・デザート・PB商品などの商品開発や販促改善を凄まじいスピードで実施しており、OMO戦略の最大の魅力である素敵な顧客体験を継続的に提供している。
OMOの活用 日本の事例

FABRIC TOKYO
「だれもが自分らしいライフスタイルを自由にデザインできるオープンな社会をつくる」というビジョンもと、「自分らしいビジネスウェアを通じて働く楽しさを届けるオープンなプラットフォーム」をミッションとする2012年に設立された、日本のカスタムオーダーアパレルブランド会社。
- 首都圏・関西に展開される店舗で採寸をし、マイページからオンライン上で注文する。
- 中間流通を通さず、受注生産型で工場と直接取引を行い、高品質かつ適正価格を実現。
- ミレニアル世代をメインターゲットとする。
- お客さま1人ひとりのライフスタイルに最適な1着を追求するという「Fit Your Life」がコンセプト。
好みのテイストや用途・職種、日々の働き方まできめ細やかなヒアリングを実施、その人にあったサイズ感やデザイン性、生地などをアドバイスする。
深い接客により、ライフスタイル(生き様や価値観)にフィットする「オリジナルスーツ」を提供する。
完成したスーツのサイズが合わなかった際、納品から50日間であれば、無料のサイズお直し、作り直し(1回まで)が可能。

サントリーのTOUCH-AND-GO-COFFEE
TOUCH-AND-GO-COFFEEとは、サントリーが2019年から開発を始めた、LINE活用によってカスタマイズしたコーヒーを提供するコーヒースタンド事業。
コーヒーBOSSをベースにLINE機能を活用して自分好みのフレーバーを注文&決済、店舗で受け取るもの。
顧客は、7段階のカスタマイズにより200通り以上のオリジナルコーヒーを注文することができるとともに、事前に注文・決済をLINEでできるため、待ち時間もない。
LINE決済の利便性、自分好みにカスタマイズできることや名前入りラベルなどのアミューズメント性がうけ、若者の間などで話題となり、オープン時には朝で完売となった。
「(オンライン)注文・決裁」+「(体験)カスタマイズしたフレーバー+名入りのラベル」+「(オフライン)店舗でピックアップ」というOMO戦略の好事例である。
OMO型ビジネスモデルの開発を急げ!
これまでの事例からわかるように、中国や米国がOMO戦略では完全にリードしている。
- お客さまのデータ蓄積
- オンラインとオフラインの組み合わせにより
- これまでになかった新しい顧客体験を提供し、お客さまのそれぞれのライフスタイルに合った価値創造の手助けを進めている。
これまでリアル店舗における「おもてなし」で差別化してきた日本であるが、これからはOMOによって、「新しい体験」=「人生全体に新しい価値を付加するおもてなし」を実現していかなくてはならない。
さもなければ、日本のサービスは旧時代のものとなり、これからの顧客満足を継続的に最大化していくことはできない。
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■スキマ時間で販売士試験に合格!(リテールマーケティング)
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本日も最後までお読みいただきまして有難うございました。
MASA


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