ドン・キホーテは1989年3月、東京・府中市で1号店を開業して以来、31期連続で増収増益を続け、2020年6月期には営業収益 約1兆6,820億円、営業利益 約760億円と日本で4番目の収益を持つ小売業に成長している。
今回は
このドン・キホーテの急成長を支えた
安田隆夫氏の経営哲学について学んでいきたい。
大手小売業イオンに入社後、店舗営業、本社スタッフを経験。
その後、駐在員として香港、マレーシア、ベトナム、ミャンマーにトータルで12年滞在。
各国で商品部や新規合弁事業の管理担当を歴任。
現在は独立、ミャンマーの最大都市ヤンゴンに居を構え、新規事業の準備中。
なぜ後発のドン・キホーテはディスカウントストア日本一になれたのか?

なぜイオンやセブン&アイに比べて後発であったドン・キホーテはこれほどまでに急成長できたのであろうか。
一言でいうと、他の大手小売業と
- 違うマーケットを
- 違うやり方で
- 安田氏の言葉を借りれば「逆張り」経営で
攻めたから、成功したと思う。
違うマーケットとは「深夜マーケット」であり
違うやり方とは「圧縮陳列」「アミューズメント性」「繁華街に(居ぬきなど)出店」
プラスして
「長崎屋の買収による地方と生鮮マーケットの拡大展開が可能に」「ホームセンター ドイトなどのM&Aの成功」
も奏功した。
源流

このドン・キホーテの急成長を支えた哲学が創業者である安田氏がまとめた源流に凝縮されている。
(以下、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(旧ドン・キホーテ)のホームページより引用)
当源流こそ真のCEOであると規定し、全ての行動規範とすべく、全従業員が切磋琢磨しております。
創業者のこの思いと考えが、未来永劫当社グループ独自の矜恃と存在理由そのものであることをここにお伝えするべく、以下、源流に定められた企業原理および経営理念をご紹介させていただきます。
企業原理
PPIHグループは「顧客最優先主義」を企業原理とし、いついかなる時も、お客さまの暮らしを支え、お買い物の楽しみを提供することを第一に、行動することを定めています。 それは経営においても、一人ひとりの社員においても同様であり、常に「我が店が何によって生かされているのか?」を自問自答し、「顧客最優先主義」を愚直なまでに突き詰めることこそが、成長の礎であると考えています。
経営理念
第一条 高い志とモラルに裏づけられた、無私で真正直な商売に徹する
第二条 いつの時代も、ワクワク・ドキドキする、驚安商品がある買い場を構築する
第三条 現場に大胆な権限委譲をはかり、常に適材適所を見直す
第四条 変化対応と創造的破壊を是とし、安定志向と予定調和を排する
第五条 果敢な挑戦の手を緩めず、かつ現実を直視した速やかな撤退を恐れない
第六条 浮利を追わず、中核となる得意事業をとことん突き詰める
PPIHグループの六箇条からなる「経営理念」は、企業原理「顧客最優先主義」を実現するための行動理念として定めています。この企業原理と経営理念は、未来永劫不滅なPPIHグループ独自の矜持(きょうじ)と存在理由そのものにほかなりません。
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加えて、安田氏の著書 安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生 (文春新書)に紹介されている「御法度5ヶ条」もドン・キホーテの従業員のビジネス・マインドを形成する上で大きな役割を果たしている。
御法度5ヶ条
- 公私混同の禁止
- 役得の禁止
- 不作為の禁止
- 情実の禁止
- 中傷の禁止
安田氏は書籍の中で、「自分自身を戒めるために」も策定したと説明したが、実際、組織のルールとして深く根付いている。
ドン・キホーテは自律的商人の集合体

ドン・キホーテの経営の大きな特長に
「徹底した権限移譲」と「成果主義」がある。
前者は小売業の最も大切な仕入れを含め、ほとんどすべてを店担当者に権限移譲するというもの。
後者は「自らの目標を自らで決めて、達成していく」というもの。
これはコインの裏と表で、権限を付与されるかわりに、数値達成責任も確実に果たさなければならないという非常に厳しい掟となっている。
また、安田氏の独特な哲学に「はらわた力」というものがある。
これは「問題に直面しても解決や自己実現のために、紆余曲折しながらも最後に這い上がろうとする一念。」のことで、困難から逃げない人間力のことを言う。
こうした哲学を日々実践するドン・キホーテの従業員はイオンやセブン&アイに比べると若い世代が多い。
その若い世代が、安田氏の「はらわた力」を胸に
源流に規定された「企業原理」「経営理念」を日々唱和し、買い場(ドン・キホーテでは売り場のことを買い場という)で徹底的に実践していく。
実際、店の従業員同士の会話においても
- どんな商品を、どれだけ売り切るのか
- そのためにはどのような売り方、見せ方、POPの取り付けが必要か
を日々、真剣に議論されている。
自分で決めた目標を達成するために
自分で商品を仕入れ 自分で商品を並べ 演出・POPを工夫するから「自分の頭で考える情熱的な商人」がどんどん輩出されていく。
これがドン・キホーテの強さの秘密である。
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- 夜の市場の発見。
- 現場にすべて権限を委譲。
- 仕入れから値付けまで現場にやらせ、上は口を出せない。
- 営業目標は各個人に立てさせる。
- 徹底的な成果主義。
後発のドン・キホーテを日本有数の小売業に育て上げた稀有な起業家、安田氏の著書。
など、他の大手小売業の本部主導による「チェーンストアモデル」と完全な逆張りの経営体制に取り組んだ。
「究極のネガティブ脱出法」「はらわたで考える」など独特の哲学で読んでいる者を強烈に引き付ける。
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本日も最後までお読みいただきまして有難うございました。
MASA


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