6回に渡って、私が小売業での経験を通して学んだ「強い小売業の法則」を紹介していきたい。
第2回は「あくなきディスカウントプライスの追求」だ。
強い小売業には共通点がある。
ここでは
誰もが認める“強い”小売業である「イオン」「ドン・キホーテ」「ウォルマート」の創業者が残した言葉そして、私自身の体験を通して「強い小売業の法則」について見ていく。
「ディスカウントプライス戦略」を支えるものは?
なぜ「ディスカウントプライス戦略」にこだわるのか?
について見ていきたい。
そこから、変わることない商売の成功法則を導き出していく。

大手小売業イオンに35年間勤務
2011年よりアセアン事業(マレーシア、ベトナム、マレーシア)において、管理担当として合弁事業会社の立上げに取組む。
「ディスカウントプライス戦略」とは
今、注目を集める小売業創業者が「価格戦略」の重要性について語った言葉を以下に引用する。
ここから、小売のエクセレントカンパニーが、どのように、そしてなぜ「ディスカウントプライス戦略」を追求しているかが理解できると思う。
ドン・キホーテ
“第二条いつの時代も、ワクワク・ドキドキする、驚安商品がある買い場を構築する
PanPacificStrategyInstitute及びPanPacificRetailManagement(Asia)創業会長兼最高顧問安田隆夫
源流「PPIHグループの理念」より(PPIHグループホームページ)より
POSとEOSというITシステムを導入する一方で、仕入れおよび陳列という小売業の基幹をなす部分は、現場の社員に権限委譲した。1999年の時点でドン・キホーテは、問屋やメーカーとの商談のために「一括商談システム(1998年1月導入)」を本社に設けていたが、実際に商品を仕入れるかは現場の各店の判断によって決定された。仕入れには、入社1年未満の社員が担当することもあったという。当時の小売他社は、仕入れは古参社員が行うことが多く、素人が仕入れ決定権を握ることは業界の常識に反しており、ドンキは常識の逆を追及した。
2002/10/14日経ビジネス「ドン・キホーテ・楽しく競わせ快進撃」
そんな中で、最後発のちっぽけな小売店が、大手と同じことをやったって永久に勝てない。だからどんなことがあっても、絶対に人のマネをせず、独自の道を突き進むぞ……そうした強い自戒の念を込めたのである。
ドンキがこれまでDS小売業として一人勝ちを謳歌できた最大の要因は、「権限委譲を前提としたアンチ・チェーンストア主義」という、独自のやり方、すなわち逆張りを貫き通してきたから(中略)
単にローコストの徹底だけで実現した、豊かさと面白みのないDS(私はそれを〝プアDS〟と呼んでいる)は、わが国のような成熟消費社会ではなかなか受け入れられないだろう。
安田隆夫.安売り王一代私の「ドン・キホーテ」人生(文春新書)”
イオンやウォルマートと一線を画し、チェーンストア理論に基づいた仕入れ規模の拡大やローコストオペレーションに重点を置くのではなく、売り場への仕入れ権限移譲を通じて、いわゆる“驚安商品”を品ぞろえし、売り場担当者が自ら、売り方やPOPを工夫して売り込むところに重点を置いていることが分かる。
そうしたことで、店ごとに品ぞろえの強調点の違い生まれるのである。
加えて、ドンキのオリジナル商品ブランド(プライベートブランド・PB)「情熱価格」にも力を入れている。
お客さまの声にさらにひと工夫を加えて、圧倒的な低価格での提供をモットーとしているとのことである。

イオン
第9章商売―やり方を考えて考えて考え抜く
「べらぼうに安い」と思ったら、「何か自分とやっていることが違うのじゃないか」「何をやっているのだろう」と、自分で勉強すべきなのだ。(中略)
一概に「圧倒的安さ」などと断定してはならない。考えることが必要なのだ。
岡田卓也の十章出版社:商業界、発売日:2007/8/1より
イオンはPB商品のトップバリュに力を入れており、商品の「安全・安心」を重視する一方、大量仕入れによるコスト引き下げを背景とした、オンの満足品質・低価格ブランド「トップバリュベストプライス」を前面に打ち出している。
トップバリュベストプライスは、満足品質で、地域いちばんの低価格を目指すブランド。
品質が同じならやっぱり価格が安いほうが一番。
いつでも低価格で買うことができれば最高。
…いつもの定番商品と同じ品質で、いつでも安く買える商品はありませんか?
トップバリュベストプライスはそんなあなたの
スマートな暮らしを応援します。
イオン トップバリュ ホームページより

【参考】
イオンのPBブランド トップバリュは以下の4ラインで構成されている。
トップバリュベストプライス
イオンの満足品質・低価格ブランド トップバリュベストプライス
ウォルマート
交渉はぎりぎりまで粘る必要がある。なぜなら、一番いい値段で買いたいという何百万人のお客のために、交渉しているからだ。
サム・ウォルトン著「私のウォルマート商法-すべて小さく考えよ-」(渥美俊一・桜井多恵子監訳、講談社+α文庫)から引用。
ウォルマートの成功は、特定の供給および流通戦略を通じて可能であり、低価格で消費者に提供されるのはその低コスト運営に基づく。
Investopedia
ウォルマートモデルが「毎日の低価格」で勝つ方法より引用
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ウォルマートでは、徹底した経費コントロールに根差した「Everyday low price」をモットーとしている。
その哲学は以下のサム・ウォルトンによる「成功のための 10 カ条」の第9条にも表れている。
“9.競合他社よりも経費を管理します。
これは、常に競争上の優位性を見つけることができる場所です。効率的な操作を実行すれば、さまざまな間違いを犯しても回復する可能性があります。または、非効率的すぎる場合は、優秀でありながら廃業する可能性があります。
Walmart homepage No.9 of 10 rules for building a better business
私の経験から
小売業においてはディスカウントプライス戦略こそが最大の政策であり、他社との差別化の要である。
価格・品揃えに係る商品構成グラフは小売業が最も大切にしなければならないものである。
そこからお客さまに本当の満足をご提供していけるのである。

なぜ「ディスカウントプライス戦略」にこだわるのか?
コーディネートで潤う生活
価格を気にせず、楽しくお買い物ができる売場(ドン・キホーテでは買場という)では
お客さまは自分の生活に”楽しさ”と”潤い“をもたらすコーディネートが楽しめる。
部屋のイオンテリアのイメージカラーの統一
食卓を彩る食器類をそろえる
キャンプに使うグッズを家族の意見でそろえる
などなど
これも、コーディネート購買が可能となるディスカウント価格が実現せしめるものである。
価格だけでなく「安全・安心」を重視
日々お客さまが購入できるディスカウントプライスでも
商品の「安全・安心」を担保する。
それが小売業に求められた使命である。
小売業はお客さまの「健康」「命」を預かっているといっても過言ではない。
「あくなきディスカウントプライスの追求」が小売業の技術革新をもたらす
「あくなきディスカウントプライスの追求」が目指すところは、お客さまの日々気軽に買える価格で、その「ニーズ」、時には「ウォンツ」を満たし、消費者代位業として本分を全うすることである。
そのたゆまぬ創意工夫が新たな商品ソースの開発や、商品機能の見直し、物流など小売業の技術革新を進めるのである。
強い小売業の法則:「あくなきディスカウントプライスの追求」を支えるのは継続的な流通・商品改革であり、それが真の商人を育てるのである。
その集団が強い小売業を作る。
本日も最後までお読み頂きありがとうございました。
MASA


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