今回は
中国経済はコロナ禍から完全に立ち直ったのか?
中国経済はこれからどう変わるのか?
中国とアセアンとの貿易拡大が日本に与える影響は?
などの疑問に答えていく。
大手小売業イオンに入社後、店舗営業、本社スタッフを経験。
その後、駐在員として香港、マレーシア、ベトナム、ミャンマーにトータルで12年滞在。
各国で商品部や新規合弁事業の管理担当を歴任。
現在は独立、ミャンマーの最大都市ヤンゴンに居を構え、新規事業の準備中。
中国経済はコロナ禍から完全に立ち直ったのか?

中国の経済状況は
2020年の物価変動を除外した実質GDPを2%以上の成長に上方修正。
1~6月:前年同期比マイナス
7~8月:同約5%
10~12月:同6.5%増と急速に回復
となり、数字上は完全にコロナ禍を抑え込んだ形だ。
要因は
- 製造業を中心に民間部門の投資がけん引。
- 輸出も東南アジアを中心に好調、前年を上回った。これはアメリカとの貿易戦争を考慮に入れると驚異的な回復力と言える。
- マンションを中心とする不動産開発投資も好調で前年を上回った模様。不動産バブルが数年前にはじけているとの分析もあるが、数字が表に出ない分、巧みにコントロールしているといえる。
中国経済はこれからどう変わるのか?

ここで中国経済の現状について確認したい。
中国は主要国の中では2020年時点で最も早くコロナ禍の抑制に成功し、経済では断トツの回復力を示している。
しかし、一方で専門家の間では、中国は「サプライチェーンの崩壊」「一対一路の頓挫」「経済・金融の崩壊」の3重苦の真っただ中であるといわれている。
詳細は下記を参考にしてほしい。
この「経済の3重苦」と「コロナ禍の抑制による経済回復」は一見矛盾しているようだが、中国が共産党による独裁政治体制であることを考えるならば理解できる。
すなわち、経済崩壊ギリギリのところで表面に出る数字を巧みにコントロールしているということだろう。
例えば、不動産価格については日本のバブル崩壊をケーススタディとし、国と地方の負債を積み増しして持ちこたえていると思われる。
ゾンビ企業も、国が税金で支えているのだろう。
しかし、上がったものはいつか必ず下がる。
2021年の中国株には大きなチャンスがあるといわれているが、上がった不動産価格も株価もいつか下がる。
そのタイミングがいつになるかが問題なだけだ。
中国とアセアンとの貿易拡大が日本に与える影響は?

NNAのアジア経済ニュースによると、アセアン10カ国から中国への輸出額は、約3,000億米ドル(約31兆円)で、前年比7%の伸長だったとのこと。
コロナ禍の影響で輸出への下押し圧力が強まった国も含めて7%の成長は驚異的な数字だ。
中国とアセアンとの貿易額は、中国の2001年のWTO加盟、2002年のアセアンとのFTA(自由貿易協定)締結後、急拡大している。
アジア開発銀行のデータから、中国とアセアン相互の輸出入総額は1990年度から60倍以上に拡大していると思われる。
この貿易拡大には双方のメリットが大きく関係している。
アセアンとしては、天然資源や産業部品等の輸出先としての中国の存在は大きい。
一方中国としても、今後、経済を支える携帯電話や電気自動車など付加価値の高い中国製品の消費市場としての魅力、安価な人件費や天然ガスなどの天然資源、「一帯一路」構想の協力、米中貿易摩擦の補填先としてのアセアンの位置づけは高い。
特に「一帯一路」構想の中心となるカンボジア、ラオス、ミャンマーの3ヶ国は中国との結びつきは強く、中国の資金がなければ、経済中進国への仲間入りはままならない。
しかし「一対一路の頓挫」のところで説明したように、日本のODAと違い、中国からの海外直接投資は、自国の国益を念頭に置いたものが大半で、アセアン各国としての利益を十分に検討しなければならない。
何より、中国はその経済的つながりを梃に、南シナ海における海洋艦隊の組織化に着手しており、空母機動部隊を配置する構想を持っているといわれる。
「最強兵器としての地政学」の著者である藤井厳喜氏によると、中国最大の狙いは、南シナ海を自国の戦略原潜の聖域とすることだという。
この領海化に成功すれば、日本のシー・レーンを分断し、アメリカ艦隊を封じ込め、東南アジア諸国を属国化するなど、複数の目標を同時に達成することが可能となるということだ。
これは恐ろしい未来で、誤解を恐れずに言えば
日本の燃料、食料の海上ルートは中国の支配下に置かれ、日本は中国にお伺いを立てなければ何もできない、間接的な属国に成り下がってしまう。
日本にとって台湾は言うまでもなく、インドネシア、ベトナム、マレーシア、加えてアセアンではないがインド、オーストラリアとの強い関係構築が極めて重要になってくる。
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【参考記事】
東南アの20年対中輸出7%増コロナ禍でも伸び、越は22%増
NNAASIAアジア経済ニュース年1月29日
中国税関総署(GACC)によれば、2020年の東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国から中国への輸出額(米ドル建て)は、3,009億米ドル(約31兆円)で、前年から7%伸びた。
新型コロナウイルスの影響で輸出への下押し圧力が強まったASEANの一部の国も、中国向けは好調だった。
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【参考図書】
■最強兵器としての地政学Kindle版
藤井厳喜(著)出版社:ハート出版発売日:2016/9/17
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今回も最後までお読みいただきまして有難うございました。
MASA



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