以下をご覧いただきたい。
2010年と2019年度における
小売業(業態)の売上と営業利益の推移を比較した表である。
【2019年vs.2010年 売上対比】

【2019年vs.2010年 営業利益対比】

- GMS: イオンやイトーヨーカドーなどの総合スーパー業態
- SM : 食品スーパー業態
- Dept: 百貨店業態
- SS : 専門店業態
- CVS: コンビニエンスストア業態
- DsG: ドラッグストア業態
- DS : ディスカウントストア業態
2019年vs.2010年 売上・利益の業態トレンド動向は前回(1)で分析したように
- GMS業態 下降
- Dept 業態 下降
- SS業態 アパレル、ホームファションの製造小売業(SPA)上昇、家電等旧来型の問屋MD 下降
- CVS業態 上昇 ※但し店舗飽和加速と企業間格差拡大
- DgS業態 上昇 ※加工食品や日用雑貨の売上取り込み、セルフメディケーションの更なる推進
今回は、2019年vs.2010年の業態動向について
各企業や業態が大きく成長した背景を個別に分析していきたい。
大手小売業イオンに入社後、店舗営業、本社スタッフを経験。
その後、駐在員として香港、マレーシア、ベトナム、ミャンマーにトータルで12年滞在。
各国で商品部や新規合弁事業の管理担当を歴任。
現在は独立、ミャンマーの最大都市ヤンゴンに居を構え、新規事業の準備中。
ドン・キホーテの大躍進

ドン・キホーテは1989年3月、東京・府中市で1号店を開業して以来、31期連続で増収増益を続け、2020年6月期には営業収益 約1兆6,820億円、営業利益 約760億円と日本で4番目の売上を持つ小売業に成長している。
なぜイオンやセブン&アイに比べて後発であったドン・キホーテはこれほどまでに急成長できたのであろうか。
それは、日本が失われた20年と言われた期間を通じて、ディスカウント業態という時代に適応した業態を選んだこと。
そして
- 違うマーケットを
- 違うやり方の「逆張り」経営で
攻めたことから、成功できた分析する。
- 違うマーケットとは「深夜マーケット」であり
- 違うやり方とは「圧縮陳列」「アミューズメント性」「繁華街に(居ぬきなど)出店」
また加えて
「長崎屋の買収による地方と生鮮マーケットの拡大展開が可能に」「ホームセンター ドイトなどのM&Aの成功」も奏功した。
コンビニエンスストアの深化‐さらなる日常生活への浸透‐
私が育った大阪で(ローソンを中心に)コンビニエンスストをよく見かけるようになったのは大学時代、1980年代からだ。
当時は、食品スーパーの最寄品を抜き出したような品揃えで、夜遅くまで開いているのが印象的だった。
その後、お客さまの変化に対応して、スィーツや惣菜等を中心に品揃えを凄まじいスピードで改廃していった。
今日ではコンビニ独自の棚割りやオリジナル商品も当たり前になった。
一方で、店舗数が4ケタに到達し、凄まじいスピードで店舗開発が進む中でサービス機能を充実させ、毎日の生活に欠かせないインフラとなった。
- チケット類や、書籍、CD 等の予約までできるマルチメディアステーション端末の設置
- ATM設置 コピー機、FAX
- 水道や電気等の公共料金や税金の支払い
- 通信販売で買った書籍などの受け取り
- 宅配便や郵便などのサービス
など、今日ではコンビニが近くにあれば、毎日の生活に困らないレベルまで到達している。
この生活インフラとしての機能とフランチャイズシステムという店舗開発方式がコンビニ業態を今日の日本代表する産業と押し上げた。
コンビニエンスストアの店舗網拡大‐企業間格差の拡大‐
最大の小売業態となったコンビニだが、現在では企業間で大きな経営力格差が存在する。
平たく言えば、セブン‐イレブンのひとり勝ちであり、1店舗当たりの日販は60万円を超え、他のファミリーマートやローソンと10万円以上の差がついている。
セブン-イレブンと他のコンビニの平均日販にこれほどの差がついている理由としては
弁当・惣菜、スイーツ等のオリジナル商品、およびプライベートブランド(PB)商品の差である。
セブン‐イレブンの「味」「品質」「品ぞろえ」が他を圧倒している。
特に、おにぎりや惣菜類はセブン‐イレブンを指名で買う人が多い。
変化対応を常とし、他のコンビニにはないオリジナル商品や新製品を毎月のように投入していく。
この継続的な商品展開を維持することにより構築された「ブランド」が平均日販の差として現れている。
ドラッグストアの大躍進

ドラッグストアは規制に守られた業態と言える。
医薬品販売には、薬剤師などの資格を持つ人員の配置が必要であるとともに、今でも化粧品はメーカーの力の強く、仕入れに若干の障壁が残ると言われる。
ドラッグストアはコンビニやスーパーに比べ、オープンに手間がかかるのだ。
加えて、医薬品や化粧品は利益率が高く荒利が稼げることから、食料品や日用品は最安値で展開できるため、集客の武器となる。
今日では業態全体で3割以上の売上を食品から稼ぎ出している。
また、冷凍・冷蔵ケースや調理設備が売場、倉庫ともに必要な食品スーパーに比べ、店舗の初期投資が軽く、採算ベースの売上を低く抑えることができる。
近年では、コスモス薬品のように店舗管理レベルの高い企業あり、出店ペースは衰えを知らない。
製造小売業(SPA)型専門店の大躍進

※製造小売業(SPA)とは
独自のブランドをもちそれに特化した専門店を営む衣料品販売業で衣料品等の販売から製造(開発)までを単一の業者が行う業態のことをSPAと言う。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
製造小売業(SPA)では
- 自社で企画。・製造と店舗を運営しているため、実際にシーズンに入ってから企画・生産が可能となり、売れ筋の商品をクイックレスポンスで製造できる。
- メーカーとしてのマージンと小売としてのマージンの両方を獲得するとともに、間に仲介していた企業がなくなったことにより、荒利高が拡大。
この戦略により、衣料品やホームファションを中心にGMS、Dept業態からSS業態に売上・利益が大きくシフトしていった。
ユニクロやニトリなどの大躍進が製造小売業戦略の絶大なる効果を表している。
小売業のD2C事業化の加速

全体的には衰退業種である百貨店で気を吐く丸井や、コロナ禍で経営が苦しいアパレル業界で驚異の成長率を維持しているファブリック トウキョウ等はD2CとしてOMO(Online merges with Offline)
戦略を取っている。
D2Cとは「製造者がダイレクトに消費者と取引をする」する業態で「Direct to Consumer」を意味する。
D2Cはメーカーや製造小売業が自社のECサイトで商品をお客さまに直接販売するため、中間の代理店や卸売業を介さない。
従って、D2Cには次のような強みがある。
- 自社のECサイトを作り、自社で製造した自社商品を販売するので、小売店や代理店を介する必要がなく、流通コストなどを大きく削減することができる。
- そのため利益率が向上し、効率良く収益性を高めることができる。
- 自社のECサイトで訴求するため、自由な販促やキャンペーンを展開することができる。
- 顧客データを収集・蓄積できるため、お客さまへのサービスや商品を効率よく、継続的に改善していける。
一方でD2Cの難しさとしては
- 自社で魅力的な商品を開発し、マーケティングしていかなくてはならないため、商品力が問われる。
- 商品製造、マーケティング、ECサイト開発・運営、リアル店舗の開発・運営など全方位で経営しなくてはならないため、多大な労力と技術を必要とする。
- ECサイトの立上げから商品の浸透、ユーザーの開拓など顧客を囲い込むまでに時間とコストがかかる。
これからの小売業は、お客さまに商品やサービスを購入していただくだけではなく
- お客さまが困っていることを解決する。
- 商品購入後の使用体験のフォローを通じて、お客さまとの関係性を維持していく。
- 商品やサービスの購入に係る様々な体験を継続的に改善し、結果としてお客さまを囲い込む。
- LTV(Life time value、生涯顧客価値)を最大化していく。
というD2Cの方向に舵を切っていかなくてはならない。
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本日も最後までお読みいただきまして有難うございました。
MASA


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